京都市の西、京都駅からみて南西にある善峯寺(よしみねでら)は山の斜面にそって建物が配置されているお寺です。高低差のある伽藍は春の桜•初夏のあじさい•秋の紅葉と季節ごとに変化に富んだ景色を見せてくれます。
境内には春は桜、初夏にあじさいが山の斜面に咲き誇る桜あじさい苑があり、ここだけでも十分見る価値はあります。
季節ごとに見所のある境内はスマホのカメラで撮影するよりは、一眼レフやミラーレスなどで写真撮影をした方がより楽しめると思います。
冬の雪景色も美しいのですが公共交通機関が不便なのと、参道が凍結する山道なので雪の写真は紹介できません。
なので実際に訪れたことがある桜・あじさい・紅葉シーズンの善峯寺の様子をエリアごとに分けて紹介します。気に入った風景があったらカメラ好き、写真が趣味の方は是非一度訪れてみてください。
[ もくじ ]
善峯寺基本情報
寺 名 | 西山 善峯寺(よしみねでら) |
拝観時間 | 午前8時30分(土・日・祝日午前8時)~午後5時(午後4時45分受付終了) |
拝観料 | 大人500円 / 高校生300円 / 小・中学生200円 |
拝観場所 | 観音堂(本堂)・桜あじさい苑・釈迦堂・薬師堂など |
宗 派 | 天台宗 |
御本尊 | 千手観世音菩薩 |
アクセス | JR「向日町駅」または阪急「東向日駅」から阪急バス66番(善峯寺行き)終点「善峯寺」下車、徒歩約8分。 |
駐車場・駐輪場 | 駐車場 / 普通車500円 駐輪場 / バイク無料 |
善峯寺へのアクセス
京都市西京区にある善峯寺は、京都駅から見て南西の方角にあります。
京都観光の中心となる東山や祇園、四条からはかなり離れた山間に建てられています。
京都駅から善峯寺へのアクセス
京都駅から善峯寺への公共交通機関でのアクセスはJR京都線「向日町駅」まで電車で行き、「向日町駅」からはバスで向かいます。バスの乗車は終点の善峯寺まで30分。
電車は特に問題ありませんがJR「向日町駅」から善峯寺へ向かうバスの本数は平日、土曜•休日にかかわらず午前8時〜午後2時の間1時間に1本のみです。
バス待ち時間がめんどくさい、夕方まで楽しみたい、自由に動きたい方は京都駅からのレンタカーの利用が便利です。
JR「向日町駅」・阪急電車「東向日駅」から善峯寺へのアクセス
善峯寺の最寄り駅はJR「向日町駅」と、もう一つ阪急電車「東向日駅」。
JR「向日町駅」・阪急電車「東向日駅」から善峯寺行きのバスも本数は平日、土曜•休日にかかわらず午前8時〜午後2時の間1時間に1本のみ。
善峯寺からの帰りのバスも平日、土曜•休日にかかわらず午前9時〜午後3時の間1時間に1本のみです。
JR向日町駅・阪急東向日駅からタクシーの場合は善峯寺までは約20分、約2,500円。
[阪急タクシー]電話:075-922-3156
[都タクシー]電話:075-921-0038
JR「長岡京駅」・阪急電車「長岡天神駅」からレンタカー
京都駅からではなく善峯寺の近くで車を借りたい場合は、長岡からのレンタカー利用がおすすめです。
JRは「向日町駅」から1駅進んでJR「長岡京駅」。
阪急電車は「東向日駅」 から2駅進んで阪急「長岡天神駅」からのレンタカーの利用が可能です。
▶︎JR「長岡京駅」からのレンタカー利用はこちら
善峯寺の歴史
善峯寺は平安時代中期の1029年、源算上人により開かれました。
はじめは小堂に安置した源算自作の千手観音を本尊とします。
1034年、鎮護国家の勅願所と定められ「良峯寺」の寺号を下賜されます。
1042年、勅命により洛東鷲尾寺の仁弘法師作の千手観音を遷して本尊とし、源算作の千手観音を脇本尊としました。
1192年現在の「善峯寺」の宸額が下賜されます。
天皇や皇室の崇敬をうけ鎌倉時代から室町時代にかけて大いに栄えましたが、応仁の乱により伽藍の多くを焼失。
その後江戸時代になって徳川5代将軍綱吉の母、桂昌院(けいしょういん)によって現在の伽藍のほとんどが復興されました。
善峯寺写真撮影のポイント
①歩きやすい靴と動きやすい服装で
②時間と体力に余裕を持って
③折り畳み傘を準備しておく
④三脚・一脚OK(ただし条件付き)
善峯寺の写真撮影で注意することを以下で詳しく説明します。
①歩きやすい靴と動きやすい服装で
善峯寺は山の斜面に建物が点在しており階段や上り坂が多く傾斜が強いです。
桜あじさい苑の下部は深い谷まで続き、釈迦堂と薬師堂は山の上にあるのでかなり高低差があります。
色々な角度から写真が撮れますがその分上り下りは結構きついです。
境内も広いので歩きやすい靴と動きやすい服装で行くことをおすすめします。
②時間と体力に余裕を持って
初めて善峯寺へ行く場合は善峯寺に絞って行ったほうがいいです。
他の観光地のついでに寄るには境内が広すぎるし、アップダウンの激しさから体力を消耗します。別の場所で体力を使ってしまっていると疲れて境内を回りきれない可能性があります。
見学の所要時間は公式パンフレットによると境内1周約40分と書かれていますが、1時間くらいゆっくりめにとっておいたほうがいいです。
写真を撮りながら回るのであればなおさら時間に余裕を持たせておいた方が安心です。
③折り畳み傘を準備しておく
善峯寺は山の中にあり急に天気が変わることがあります。
天気予報の降水確率が30%でも雨が降ることがありました。
天気予報がくもりでも、たとえ降水確率が低くても傘は準備しておいた方がいいです。
④三脚・一脚OK(ただし条件付き)
三脚・一脚の使用は他の参拝者の迷惑にならないようにすれば使用可能。
京都のお寺で三脚等が使用できるのは珍しいことです。
ただし紅葉シーズン(11月10~30日)の土・日・祝日は三脚・一脚使用禁止。
ちなみにペット(犬)と一緒に参拝することも可能です。
ただし建物の中へ連れ込むことはできません。こちらも他の参拝者の迷惑にならないことが条件です。
おすすめの季節
善峯寺は春の桜、初夏のあじさい、秋の紅葉とそれぞれに見所があります。
どれかワンシーズンしか行けないとしたら一般的には秋の紅葉がおすすめでしょうか。
個人的にはあじさいのシーズンが一番おすすめです。
善峯寺を含むあじさいで有名な京都のお寺をまとめてあるので興味がある方は下記のリンクからどうぞ↓
【京都あじさいのお寺3選】三室戸寺•善峯寺•柳谷観音楊谷寺の比較とそれぞれの特徴を紹介
善峯寺境内と季節ごとの見所
善峯寺境内図
写真 : 善峯寺パンフレット
ここからは善峯寺境内をざっくりと5つのエリアに分けてメインの建物とおすすめの季節を撮影例も交えながら紹介します。
季節の写真には撮影日も入れておきました。毎年同じ状態とは限らないので参考程度にお願いします。
①山門・観音堂(本堂)エリア
②多宝塔エリア
③白山 桜あじさい苑
④釈迦堂エリア
⑤薬師堂エリア
①~⑤の順に山を上っていくような感じです。と言っても道はきれいに舗装されていますので歩きやすいです。⑤の薬師堂エリアが善峯寺の頂上になり、そこから下って観音堂(本堂)へと戻ります。
①山門・観音堂(本堂)エリア
[ 2022年11月16日撮影 ]
山門の周りは紅葉シーズンが最も美しくなります。
山門向かって左にあるモミジが一際鮮やか。山も紅葉しているので広く撮影してもいい写真が撮れるかもしれません。
しかし山門の前はすぐ後ろに壁があるので引いて撮影できるスペースがありません。山門の正面から広く撮りたい場合は広角レンズがあったほうがいいと思います。
[ 2022年11月16日撮影 ]
観音堂周辺には桜・あじさいがあまりありません。
したがって観音堂周辺は紅葉シーズンが一番きれいです。
近くの山も紅葉し、それを借景とした観音堂の写真を撮ることができます。
[ 2022年11月16日撮影 ]
観音堂の左には善峯寺の文化財を収蔵する文殊寺宝館。コロナ禍の現在は閉館されています。
山門
江戸時代の1716年建立。楼上の本尊は文殊菩薩、現在は文殊寺宝館に安置。
山門後ろに桜やあじさいがあります。
観音堂(本堂)
江戸時代の1692年建立、桂昌院の寄進により再建されました。本尊は千手観音。
堂内は撮影禁止になっています。
堂内に入ってお参りすることができます。中には3つの厨子がありいずれも秘仏で見ることはできません。
[ 2022年11月16日撮影 ]
観音堂から多宝塔エリアへ向かう途中にある坂は善峯寺秋のフォトスポットの一つ。
②多宝塔エリア
[ 2022年11月16日撮影 ]
多宝塔エリアは春には桂昌院しだれ桜と皐月、初夏はあじさい、秋は紅葉と季節ごとに変わった景色が見れる場所です。
遊龍の松
[ 2022年6月7日撮影 ]
国指定天然記念物の五葉松。
地を這うように伸びるこの松は「日本一の松」として知られているそうです。
この松の周辺は皐月のシーズンがきれいです。桜のシーズンに来れなかった場合は、皐月の咲く頃を狙うのもいいかと思います。
多宝塔
江戸時代の1621年建立で重要文化財、本尊は愛染明王。
[ 2021年6月24日撮影 ]
多宝塔と経堂の周辺にはあじさいが咲きます。後ろには階段があるので上から撮影することも可能です。
2024年春、創建当時の彩色で復原
[ 2024年6月20日撮影 ]
改修工事が行われていた多宝塔は2024年の春完成。創建当時の彩色が復元されました。
経堂
多宝塔の隣には経堂があり、現在は絵馬を奉納する場所になっています。
桂昌院しだれ桜
[ 2022年4月9日撮影 ]
経堂の横に植えられているのが桂昌院お手植えのしだれ桜。下の道から撮影すると桜のシャワーのように見えきれいです。
ちなみに善峯寺の北に位置する同じく桂昌院によって復興されたお寺、金蔵寺(こんぞうじ)にも桂昌院お手植えのしだれ桜があります。金蔵寺について詳しく知りたい方は下記のリンクからどうぞ↓
【アクセス困難なお寺】酷道の先にある京都金蔵寺の拝観内容と御朱印
[ 2021年6月24日撮影 ]
経堂裏から桂昌院廟へと続く階段はあじさいの撮影ポイント。
③白山 桜あじさい苑
[ 2022年4月9日撮影 ]
善峯寺の境内東側に独立してあり、山の斜面に桜とあじさいがびっしりと植えられています。それに対して紅葉は控えめになっています。
桜あじさい苑はもちろん春の桜のシーズンか、初夏のあじさいのシーズンがおすすめ。
春の桜、初夏のあじさいのピーク時はすばらしい眺めで、ここだけでも見る価値はあると思います。
入口には幸福地蔵が祀られた建物がありそこから桜あじさい苑全体を見渡すことができます。
桜かあじさい、どちらかしか行けないとしたら個人的にはあじさいのシーズンをおすすめします。
桜は3月下旬〜4月上旬に開花
[ 2022年4月9日撮影 ]
桜あじさい苑の上部、桜が満開の時の写真です。しだれ桜や染井吉野が山の上まで咲きます。
[ 2022年4月9日撮影 ]
桜あじさい苑の中部から上を見上げた景色です。様々な桜が重なり春爛漫の写真が撮れます。
鳥たちも飛んでくるので望遠レンズで撮影を楽しまれている方もよく見かけます。
[ 2022年4月9日撮影 ]
桜あじさい苑の下部、五輪塔があるところからから上を見上げた景色です。一番下は行き止まりになっており引き返して上へ戻ります。
あじさいは6月中旬より7月上旬に見頃
[ 2021年6月24日撮影 ]
桜あじさい苑の上部を撮影したもの。山の斜面に色とりどりのあじさいが咲き誇る景色は圧巻です。
いろいろな角度からあじさいの写真が撮れるのも桜あじさい苑に高低差があるから。
[ 2021年6月24日撮影 ]
幸福地蔵が祀られた建物から見た桜あじさい苑の中部。真ん中には灯籠、下に行けば善峯寺の開祖源算上人が写経に用いたという白山名水があります。
[ 2021年6月24日撮影 ]
桜あじさい苑の下部から幸福地蔵が祀られた建物を入れてあじさいを撮影したもの。桜あじさい苑の下部は深い谷になっており、上部まではかなりの高低差があります。
④釈迦堂エリア
[ 2022年11月16日撮影 ]
釈迦堂エリアも春の桜、初夏のあじさい、秋の紅葉と季節ごとに変わった景色が見れる場所です。
[ 2022年11月16日撮影 ]
釈迦堂から稲荷社、上の薬師堂へと続く道にもモミジがたくさん植えられています。
[ 2021年6月24日撮影 ]
釈迦堂周辺にはあじさいの仲間、アナベルも植えられています。真っ白なアナベルはあじさいより繊細な雰囲気。高い所にあるので遠くの景色まで見渡せます。
釈迦堂
明治時代の1885年建立。堂内に入ってお参りすることができます。
本尊は源算上人が作ったとされる石造の釈迦如来。
[ 2022年4月9日撮影 ]
釈迦堂周辺には大きなしだれ桜が前と後ろに1本づつ、2本のしだれ桜があります。
[ 2021年6月24日撮影 ]
釈迦堂の後ろには様々な色のあじさいが咲きます。ここだけでもカラフルできれいです。
⑤薬師堂エリア
[ 2022年11月16日撮影 ]
善峯寺境内で最も高い所にある薬師堂。
この周辺は桜・紅葉がメインであじさいはあまり植えられていません。どちらかといえばおすすめするのは紅葉シーズンです。
[ 2022年11月16日撮影 ]
薬師堂の後ろには池のある庭園があり紅葉が楽しめます。紅葉の少し前は秋明菊も咲いています。
[ 2022年11月16日撮影 ]
高い所にあるので見下ろした景色も美しい。この写真は下にある釈迦堂を見下ろしたもの。
薬師堂
江戸時代の1701年建立で本尊は薬師如来。堂内へは上がれません。
扉が開いていれば外から姿を見ることができます。だいたい開いていますが、閉まっている時もあります。
[ 2022年4月9日撮影 ]
薬師堂の横には1本の大きなしだれ桜があります。桜のシーズンの桜あじさい苑と同じ日に撮った写真で、2022年はちょうど見頃になっていました。
[ 2022年4月9日撮影 ]
薬師堂から見下ろすと休憩所のけいしょう殿と桜、遠くに京都市内が見えます。
[ 2022年4月9日撮影 ]
薬師堂横の桜は庭園の池に映して撮影することもできます。
[ 2022年11月16日撮影 ]
薬師堂が善峯寺境内散策の最後になりここからは帰り道になります。薬師堂から少し下った所に青蓮の滝があり不動明王を祀る池があります。こちらの紅葉もきれいです。
これで善峯寺境内と季節ごとの見所の紹介は終わりです。
紹介した中に行ってみたいと思える季節があったら機材を整えて撮影に出かけてみてください。きっとシャッターを押したくなる景色に出会えると思います。
善峯寺の御朱印
写真撮影とは直接関係ありませんが、御朱印もいただいている方のために善峯寺の御朱印も紹介します。
善峯寺の御朱印は観音堂(本堂)左側にある納経所でいただくことができます。
合計6つ御朱印があります。正確には御朱印が3つと、それに対応する御詠歌が3つです。
御朱印と御詠歌は全て各300円で、御朱印帳に書いてもらえます。
①西国三十三所二十番
御朱印「大悲殿」
御詠歌「野をもすぎ 山路に向う 雨の空 よしみねよりも はるる夕立」
観音堂(本堂)の本尊、仁弘法師作の千手観音が西国三十三所観音霊場の第20番札所の本尊です。
西国三十三所草創1300年記念「月参り巡礼」の御朱印(1日限定)
日本最古の巡礼路である西国三十三所の草創1300年を記念して、
指定された1日のみ観音菩薩をイメージした特別な押印をしてもらえます。1巡目善峯寺は2017年11月5日でした。
2019年からは2巡目に入っています。しかしコロナの影響でしばらく延期され、2巡目善峯寺は2022年10月17日でした。
西国三十三所草創1300年記念「月参り巡礼」は2023年で終了予定です。
日本最古巡礼路、西国三十三所について詳しく知りたい方はこちらのリンクからどうぞ↓
西国三十三所を1日で回る!?京都国立博物館の特別展【体験レポート】
②京都洛西観音一番
御朱印「大悲殿」
御詠歌「わけのぼる むかうこころは よしみねや みのりをおえし たかきやまかげ」
観音堂(本堂)の脇本尊、源算上人作の千手観音が京都洛西観音霊場の第1番の本尊です。
③出世薬師如来
御朱印「出世瑠璃光」
御詠歌「たらちをの 願いをこめし 寺なれば われも忘れじ 南無薬師仏」
薬師堂の本尊、薬師如来の御朱印と御詠歌です。
善峯寺
住所 : 〒610-1133 京都府京都市西京区大原野小塩町1372
電話 : 075-331-0020