
京都市右京区北嵯峨にある直指庵(じきしあん)は大覚寺の北側、細い道を抜けた先にひっそりとあります。
ほとんどの観光客は大覚寺までは行きますが、直指庵まで足を伸ばす人はあまりいないと思います。
紅葉のシーズン観光客が押し寄せる天龍寺や二尊院、常寂光寺などがある嵐山から少し距離があり、まだまだ知られていないことから直指庵は紅葉の穴場スポットと言っていいと思います。
このような理由から嵐山の紅葉の名所と比べて直指庵の紅葉は落ち着いてゆっくりと楽しめます。また葦葺き屋根の建物や整えられた庭園、自然のままの竹藪があり変化に富んだ景色が楽しめます。
さらに紅葉シーズンはそこにモミジやドウダンツツジが色づき、カメラのシャッターを押すのが楽しくなります。
しかし直指庵はコロナ禍になり2020年から拝観中止となっていました。ですが2022年の11月に久しぶりに特別公開されました。
この記事では久々に特別公開された2022年秋の紅葉の様子を紹介します。
[ もくじ ]
直指庵2022年秋の特別公開基本情報
寺 名 | 祥鳳山 直指庵(じきしあん) |
公開期間 | 2022年11月20日(日)〜12月4日(日) |
拝観時間 | 午前10時~午後4時30分(午後4時受付終了) |
拝観料 | 500円 ※小学生以下の参拝は不可 |
拝観場所 | 本堂・開山堂・阿弥陀堂・庭園など |
宗 派 | 浄土宗 |
御本尊 | 阿弥陀如来 |
アクセス | 「大覚寺」バス停から徒歩約15分 |
駐車場・駐輪場 | ●車2台くらいのスペースあり※ただし車での参詣はしない方がよい ●無料駐輪場あり |
直指庵はいつでも拝観できるお寺でしたが、コロナ禍になり拝観を中止されています。
2022年は紅葉シーズンの数日のみ特別公開されました。次回の公開は未定です。
駐車場は車2台くらいは山門の前に駐車できそうなスペースがあります。しかし直指庵公式ホームページには車での参詣は控えるようにと書かれています。
直指庵へのアクセス
直指庵は初めて行く場合少しわかりにくい場所にあるのでまずは大覚寺を目印にその横の道から行くことをおすすめします。
徒歩でのアクセス
簡単ではありますが歩いて直指庵に行く道を案内します。歩くのがめんどくさい場合は大覚寺からタクシーを拾って行くのがいいと思います。大覚寺門前にタクシーが待機していることがよくあるのでそれを利用するのが便利です。
道順①大覚寺を左へ、右折してしばらく直進してから右折

大覚寺を左へ進むと右に白い石仏、左に石の道標の間に奥へと続く道があります。この道を奥へと進み、橋を渡りしばらくすると細い直進と右折の道に分かれます。この分岐を右折。
道順②直指庵石の道標を左折

右折してしばらくまっすぐ進むと電柱の横に「左細谷直指庵…」と書かれた石の道標があります。ここを左折し奥へ。
道順③直指庵看板を奥へ

しばらくまっすぐ進むと縦書きで「直指庵」と書かれた小さな看板があります。これをさらに奥へ進み民家の間の細い道を進んだ先に直指庵があります。
この細い道があるため観光バスが入れず、人が押し寄せることがないため直指庵はひっそりとした紅葉の穴場となっているのでしょう。
車での参詣を控えるよう促されているのもこの細い道で車がすれ違うことが困難なためだと思います。

細い道の突き当たりに直指庵の山門が現れます。写真左の石碑には縦書きで直指庵と書かれています。
直指庵の歴史

上の写真は江戸時代の直指庵。現在の伽藍とは異なり、かなり大きなお寺だったことがわかります。
現在は浄土宗のお寺ですが、元は黄檗宗(おうばくしゅう)のお寺でした。
黄檗宗は禅宗のうちの一つ。京都府宇治市にある日本黄檗宗の開祖、隠元が建てた萬福寺が大本山です。
直指庵は隠元の教えを継ぐ独照性円(どくしょうしょうえん)が、江戸時代の1646年に草庵を結んだことに始まります。
その後隠元を招いて伽藍を建立し、直指庵は大寺院になりました。
直指庵の名前は禅語の「直指人心 見性成仏」からつけられたもの。
その後はしだいに衰退し幕末の頃、近衛家老女の津崎村岡局(つぎきむらおかのつぼね)が直指庵に入り再興して浄土宗のお寺になりました。


現在の本堂入口には隠元筆の「直指庵」扁額が、水子地蔵尊の前には直指庵を再興した津崎村岡局の墓があります。
隠れた名所。紅葉の穴場、直指庵
直指庵は先ほども述べたように観光名所の嵐山から少し離れた位置にあり、観光バスも入れないため嵐山と比べて紅葉シーズンでも観光客は少ないです。
紅葉のフォトスポットとしてカメラマンにも人気のようで、私が訪れた時も本格的なカメラを持った方を何人か見かけました。
紅葉シーズンの直指庵は色づいた木々が各所にあり、少し高低差もあるのでいろんな場所から写真を撮るのが楽しいお寺でもあります。
ここからは紅葉シーズンの直指庵境内の様子や見どころを紹介します。
尚、三脚や一脚の使用は禁止されています。

秋の直指庵庭園を彩る植物




直指庵にはモミジの他にもツワブキ、南天(赤と白)、サザンカ、ドウダンツツジの紅葉も美しく境内を彩ります。
色々な植物を見ながら庭園を散歩するだけでも十分に京都の秋を堪能することができます。
本堂

葦葺き屋根がかわいらしい本堂。現在の本堂は明治時代の1899年に再建されたもの。
本堂内は写真撮影が禁止されています。
以前直指庵の本堂には参拝した人が思いの丈を綴る「想い出草」ノートが置かれていましたが、今回の特別公開ではコロナ感染拡大防止のため置かれていませんでした。
直指庵といえばこのノートが有名で、様々な人の思いが綴られた想い出草ノートは現在5000冊以上保存されています。


入口を上がると左にはガラスケースの中に小型から中型のたくさんの仏像が並んでいます。
その横の部屋に本尊の阿弥陀如来が安置されています。
お茶席もありましたがコロナ禍のため現在は使われていないようです。

本堂東側は大きく開かれており、床に座って眼下に紅葉した境内を眺めることができます。


開口部の右には手水鉢が置かれており、南側には小さな庭があって井戸もありシャクナゲが植えられています。
直指庵秋のフォトスポット
この記事トップの写真は本堂横から待合の奥へと続く道を紅葉の見頃に撮影したもの。
おそらくここが直指庵で最も撮影されている所でsnsなどでもよく見かけます。

本堂前にはいっそう鮮やかな赤いモミジとオレンジのモミジがあり、これが落葉するとモミジの絨毯が出来上がります。
この場所は紅葉の見頃が過ぎ、葉が落ちても美しい場所なので見頃を少し過ぎてももう一度訪れてほしい場所です。雨の後などは特に色が映えると思います。
愛逢い地蔵


本堂右側にある縁結び・恋愛成就の愛逢い地蔵。直指庵の御朱印にも使われています。
ここもモミジが散ったあとも美しい場所。ハート型の石もモミジの赤で浮かび上がります。
待合

直指庵のリーフレットに待合とだけ書かれている建物で詳しくはわかりません。昔はこの先に茶室などの建物があったのでしょうか。中には左右に腰掛けられるスペースがあります。
開山堂

待合手前の階段を上った先にある開山堂。内部には直指庵を開いた独照性円の墓があります。
手前には六角形の大きな亀石がある。開山堂は高台にあるので紅葉した境内や本堂を見下ろすことができます。

開山堂へ向かう階段の紅葉も美しい。このあたりもフォトスポットで赤•黄•オレンジ3色のモミジが同時に見れます。
落葉してからもきれいで、3色の葉が混ざりあい華やかな敷きモミジが楽しめる。


開山堂へ向かう階段の下には石仏、階段の途中には与謝野晶子の碑があります。
水子地蔵尊

生まれる前に命が消えてしまった子供「水子」を救うとともに、子供の健康と成長を守ってくれる水子地蔵尊を祀る小さなお堂。周辺を囲むモミジやドウダンツツジの紅葉がきれいです。


堂内にはお地蔵様と小さなお地蔵様がいくつも祀られています。水子地蔵尊の後ろの道を進むと想い出草観音像へとたどり着きます。
想い出草観音像

コロナ以前直指庵本堂に置かれていた「想い出草」というノート。そこに綴られた苦しみや悲しみを救ってくれる観音様。
手にはノートのようなものを持っています。この辺りは境内の奥の方にありモミジの色づきも遅い。
阿弥陀堂

本堂と同じく葦葺き屋根の阿弥陀堂。
阿弥陀堂は通常非公開。特別公開が行われる時のみ入ることができます。
秋に開催されている「京都浄土宗寺院 特別大公開」の時などに特別公開されることがある。屋根の形がかわいらしいが大きな建物で庭園もあります。

阿弥陀堂前にはススキも生えていてモミジと組み合わせればいっそう秋の雰囲気が演出できます。
門と竹林

阿弥陀堂への入口かと思われる風情のある門。想い出草観音像の方から来た場合は後ろから通ることになります。
写真でしか見たことないのですが、この門がかつての直心庵の山門(入口)だったようです。草木が茂る中にこの山門があったようで今とはだいぶ雰囲気が違いました。
この周辺もモミジとドウダンツツジの紅葉が美しく、なにげに据えられている石も凝っています。作庭した人のこだわりが感じられる場所。


拝観順路は決められていませんが、本堂から先にお参りした場合最後に通るのが竹林の道。
このあたりは自然のままの竹林とモミジを一緒に楽しむことができます。

紅葉シーズンの直指庵はどこを切り取っても絵になります。最盛期はもちろんですがモミジの葉が散った後もおすすめです。もう遅いかなと思っても美しい敷きモミジが見れる場合があります。
風情ある建物と庭園、竹林を背景にした静かな紅葉を楽しみたい方は直指庵を訪れてみてはいかがでしょうか。
直指庵の御朱印
直指庵の御朱印は2種類。
コロナ禍のため書き置きのみとなっていました。

「南無阿弥陀仏」 400円 書き置き

「愛に逢う」 300円 書き置き
直指庵
住所 : 〒616-8441 京都府京都市右京区北嵯峨北ノ段町3番地
電話 : 075-871-1880