清水寺舞台の見本が現存する京都の山寺、峰定寺の特別拝観と御朱印

京都峰定寺

京都市左京区花背(または花脊)にある大悲山峰定寺は、京都の北部にある鞍馬寺からさらに奥へと進んだところにあります。


京都に住んでいてもなかなか行く機会がない場所にあり、コロナ禍で拝観を中止されていることもあってなかなか行けませんでした。


しかし2022年5月5日の1日のみ、拝観と収蔵庫の特別拝観が行われるということでしたので以前から行きたかった峰定寺へ行ってみました。この記事ではその時の拝観内容や収蔵庫の特別拝観の様子をお伝えします。

峰定寺は観光寺院ではありません。

ですが一般の参拝者の拝観も受け入れられています。峰定寺は山に入って修行する修験道のお寺で、一般の参拝者も山の中腹にある本堂まで歩いて登ることができます。


入山の際に特別なルールがあり、代表的なものは山の入口にある仁王門から先は写真撮影が禁止されています。(境内は写真撮影可能です。)


また毎年春と秋の数日間と9月17日に収蔵庫の特別拝観が行われており、仏像等の宝物を見ることができます。

峰定寺基本情報

寺 名大悲山 峰定寺(だいひさんぶじょうじ)
拝観時間午前9時~午後3時30分
※雨の日は入山禁止
※子供や団体の入山も不可
※12月1日~3月30日閉門
拝観料●500円
●収蔵庫600円(特別拝観時のみ)
拝観場所仁王門・本堂・収蔵庫(特別拝観時のみ)など
宗 派本山修験宗
御本尊十一面千手観音
アクセス叡山電鉄鞍馬駅から京都バス32系統「広河原行き」乗車、「大悲山口」下車徒歩約30分
駐車場無料駐車場あり

コロナ禍の現在、峰定寺の拝観は中止されています。

公開される予定はGoogle検索「峰定寺」で検索するとトップページ右側に出るメッセージボードで確認できます。

峰定寺へのアクセス

峰定寺へ公共交通機関で行く場合は、京都駅からだとまず叡山電鉄「出町柳駅」を目指します。「出町柳駅」から乗車し終点「鞍馬駅」で下車、そこからはバスで向かいます。

京都駅・鞍馬駅・峰定寺の位置関係

いちばん下が京都駅、真ん中が鞍馬駅、いちばん上が峰定寺です。


京都駅からかなり離れた場所に峰定寺があることがわかると思います。

公共交通機関で行くこともできますが、「鞍馬駅」から峰定寺行きのバスの本数が平日1日2本。土曜・休日1日3本(条件あり)と少なく不便なので、峰定寺へ行く場合は車・レンタカー、バイクがおすすめです。

▶︎京都駅周辺のレンタカー利用はこちら

峰定寺行きのバスがある叡山電鉄「鞍馬駅」へは「出町柳駅」から向かいます。電車・バスがめんどうな方は出町柳駅周辺でレンタカーを借りることもできます。

▶︎出町柳駅周辺のレンタカー利用はこちら

峰定寺には無料駐車場があります。

峰定寺の歴史

峰定寺案内図

峰定寺は平安時代末期の1154年鳥羽法皇の勅願により、山岳修験者の観空(かんくう)によって創建されました。


山号は大悲山。「大悲」は「観音の大いなる慈悲心」の意味。修験の行場として有名な奈良の大峯山(おおみねさん)に対し、大悲山は「北大峯」とも呼ばれました。


本尊は鳥羽法皇の念持仏とされる千手観音。脇侍(きょうじ・わきじ)の毘沙門天像、不動明王二童子像も法皇が奉納しました。


本堂や仁王門の造営には勅命により藤原通憲(信西)と平清盛があたったとされています。


山の中にある本堂の裏は修験道の修行場となっています。


鎌倉時代後期に衰退し、江戸時代に再興されますが天保年間(1830〜1844)庫裏が焼失し多くの寺宝が失われました。

現在の門前茶屋が立ち並ぶ峰定寺の参道には、元峰定寺の宿坊であったという美山荘があります。

峰定寺の拝観

峰定寺の拝観はまず受付のある本坊へ向かいます。下に峰定寺の拝観で見ておくべきものをまとめました。(特別拝観しか見れない収蔵庫は外しています。)

【峰定寺の主な見どころ】
●日本最古の舞台造(ぶたいづくり)本堂
●日本最古の阿迦井屋(あかいや)

●日本一背の高い木、花背の三本杉

正確には花背の三本杉は峰定寺の境内にはありませんのでこの記事の最後で紹介します。

本坊

峰定寺本坊

峰定寺の入口から見ていちばん奥にあるのが峰定寺の本坊。すだれがかかっている所が受付です。


受付を済ませると山へ入る際の注意事項などの説明があります。


その後杖と小さな肩掛け袋を借してもらいます。そこに貴重品のみを入れて本堂へと向かいます。

貴重品以外の荷物は受付に預けます。カメラも山の中へは持ち込めません。

峰定寺を訪れた方の多くが携帯も預けるとブログなどに書かれていますが、私の場合は携帯は持っていてもOKでした。たまたまでしょうか…ポケットの中まではチェックさるようなことはありませんでした。


観光のお寺でないことは事前に知っていたので、ちょっと厳しい感じのお寺なのかなと思っていましたがお寺の方はとても優しく丁寧に対応してくれました。


仁王門より先にはトイレがありません。山に登る前に本坊横にあるトイレを利用しておくのがいいと思います。

仁王門

峰定寺仁王門

鎌倉時代末期の1350年再建で重要文化財。峰定寺の本堂へはこの仁王門をくぐり山の中を歩いて向かいます。


ここから自然石が重ねられた400段程の石階段を登ります。受付では六根清浄(ろっこんしょうじょう)と唱えながら登るようにすすめられます。


六根清浄は心身を清らかな状態にするという意味で、山に入って修行する者のかけ声として使われることもあります。

仁王門より先は写真撮影が禁止されています。

仁王門の両側にはかつて仁王像がありましたが、現在は収蔵庫にあるため特別拝観の時しか見ることができません。

仁王門の前には高野槙の大木(写真左)があります。仁王門扁額(写真右)の文字は「大悲山発心門」と書かれています。

仁王門から本堂

峰定寺案内看板

雨の日は入山禁止、子供や団体の入山もできません。

参拝者は仁王門で一礼して山の中へ入ります。写真撮影が禁止されているため山中の写真はありません。


ここからちょっとした登山になり、山の上から流れる水の横を登ります。


仁王門後ろの階段を上がるとお地蔵さんらしきものが数体、しばらく登ると橋がありその前には石に線刻された空海像がありました。確かなことは分かりませんがおそらく空海だと思われます。


本堂までの階段は所々にむき出しの岩盤をそのまま利用しており足場はよくないです。苔むした所もあるので雨の日に入山できない理由もうなずけます。


階段を登りながら個人的には奈良室生寺(むろうじ)の奥の院へと続く道に雰囲気が少し似てるような感じがしました。それよりも峰定寺の方がもっと深い山の中を進みます。


木々の中をしばらく登ると鐘楼があります。鐘はついても構いません。


鐘楼の近くには俊寛僧都と妻子を祭る供養塔、分岐があり足場の悪い道の先に小さな社あります。荒々しい岩盤がむき出していて山岳寺院らしいワイルドな景色が楽しめます。


この辺りから山の斜面に本堂が見えてきます。下から本堂を見上げると崖にせり出して建てられているのがよくわかります。本堂の足場の下にも荒々しい岩盤があります。


本堂横には行者堂があり、台風の影響か屋根の後ろの部分が壊れていました。修験者はここから本格的な山での修行に入るようですが、一般の参拝者は行くことができません。

日本最古の舞台造 峰定寺本堂

峰定寺本堂

写真 : 花背リゾート山村都市交流の森 案内看板より

峰定寺の本堂は清水寺本堂と同じように断崖に迫り出した舞台造。または懸造(かけづくり)ともいわれます。鎌倉時代末期の1350年再建で重要文化財。

峰定寺本堂は日本最古の舞台造。清水寺舞台の原型になったともいわれています。

峰定寺に行ってみたかった理由の1つが、日本最古の舞台造を一度見てみたかったというのとそれが清水寺の舞台と関係があることを知ったことからでした。

清水寺の舞台は徳川家光が峰定寺を参考に建て直したとされています。

本堂へは靴を脱いで上がります。通路は人がすれ違えるほどで幅は狭く、手すりの先はかなり深い谷なので人とすれ違うのがちょっとが怖いです。高い所が苦手な方はかなり怖いかもしれません。

本堂は周りを一周するのみで中へは入れません。

受付では本堂で瞑想するようにすすめられます。通路に座ってしばらくぼーっと景色を眺めましました。快晴だったので気持ちがよくて寝てしまいそうになりました。目の前には人工の建物はいっさい無く山々が見渡せます。自然の前で人間はいかにちっぽけなものかを実感しました。


本堂後方右側には仏前に供える水汲み場、閼伽井屋(供水所)があります。阿迦井屋としては日本国内最古のもの。閼伽井屋を見たら本堂の裏を通り靴を履いて下山します。


下山は受付で借してもらった杖が非常に役立ちます。下の足場が大丈夫か調べるためです。若くても、足腰に自信があっても杖は借りておいた方がいいです。


借りていた杖と小さな肩掛け袋を受付に返却し、預けていた荷物を受け取れば本堂の拝観は終了です。

収蔵庫

峰定寺収蔵庫

収蔵庫は通常非公開です。指定された日でないと峰定寺の寺宝は見ることができません。

【収蔵庫が特別拝観できる日】

●5月3日前後の連休3日間
●11月3日前後の連休3日間
●9月17日の本尊開帳採燈大護摩供

※例年はこの日程でしたがコロナ禍になって変更されることがあります。

コロナ禍の2022年春は5月5日の1日に限り、収蔵庫の特別拝観が行われました。

収蔵庫を見る場合は別途600円必要です。収蔵庫内部の写真撮影は禁止されています。

ここからは図と文章で収蔵庫内部の様子を紹介します。

〈 収蔵庫内略図 〉

峰定寺収蔵庫内略図

※正確な図面はわからないので細部、縮尺は実際と異なります。
※寺宝の配置は2022年5月5日訪問時のものです。

〈 番号と対応する収蔵庫の寺宝一覧表 〉

十一面千手観音像重要文化財
不動明王二童子像重要文化財
毘沙門天像重要文化財
釈迦如来像重要文化財
地蔵菩薩像
金剛力士像二体重要文化財
渡辺始興(わたなべしこう)筆鷹図と鷲図京都市指定
梵鐘京都市指定
墨書のある縦長の木

収蔵庫の内部を簡単な図と表にまとめました。個人的にまとめたもので公式のものではありません。

❶〜❸は峰定寺の本尊十一面千手観音像と、脇侍の不動明王二童子像•毘沙門天像です。

寺宝のいくつかは奈良国立博物館へ寄託されているようで収蔵庫内の寺宝の数は少ないです。


仏像も仁王像以外は全て小型の仏像です。収蔵庫正面に本尊とその他の仏像が、左右に仁王像と後ろ側に渡辺始興の鷹図と鷲図などが展示されています。


全ては紹介できないので重要なものに絞って紹介します。

本尊十一面千手観音像

峰定寺の本尊は鳥羽上皇の念持仏とされる十一面千手観音像です。


31.5cm小型の仏像(坐像)で、ガラスケース入り。平安時代後期の作。


非常に保存状態が良く彩色やきりかね模様がよく残っています。後背は金銅板に宝相華唐草文を透彫しています。

脇侍不動明王二童子像・毘沙門天像

本尊の脇侍。右に二童子付き不動明王像、左に毘沙門天像。


これらも小型の仏像(立像)で、ガラスケース入り。本尊同様峰定寺創建時(1154年)の作とされています。


この2体も保存状態が良く彩色がきれいに残っているところがあります。下の写真は毘沙門天像。

峰定寺毘沙門天像

写真 : 峰定寺パンフレット

本尊を観音、脇侍を不動明王・毘沙門天とする組み合わせは延暦寺横川中堂、葛川息障明王院など天台宗系の寺院にしばしば見られます。


毘沙門天像の横には釈迦如来像、地蔵菩薩が並べられています。

金剛力士像

金剛力士像(仁王像阿形・吽形)は平安時代後期の1163年、仏師良元の作。


丸みのある仁王像で、迫力というよりは優しい印象です。台座の造形もおとなしい。
どことなく醍醐寺仁王門の仁王像に似ているような感じがしました。

峰定寺の御朱印

峰定寺の御朱印

「大悲閣」300円

峰定寺の御朱印は本坊の受付でいただくことができます。

通常は御朱印帳に書いてもらえるようですが、訪れた日が1日限りの収蔵庫特別拝観が行われる日でしたので混雑を想定して書置き対応となっていました。

峰定寺の御神木・花背の三本杉

花背の三本杉

峰定寺境内から離れた場所に、峰定寺の御神木である花背の三本杉があります。


峰定寺から林道を歩いて約20分程が目安ですが、個人的にはもう少し長く歩いたような気がします。
往復で1時間くらいはみておいた方がいいかもしれません。尚、車で行くことはできません。

林道の傍らには川が流れておりその川に沿って最初はなだらかな道が続きます。しばらく歩いて三本杉に至る分岐からゆるい登り坂になります。ゴールデンウィークの昼間に行きましたがすれ違ったのはおじさん1人だけでした。

花背の三本杉

花背の三本杉

花背の三本杉は1つの根本から3本の杉が生えている珍しい形の木です。

この中の1本(東幹)が樹高62.3mと日本一背の高い木となっています。

上の写真では向かって右の木、真ん中の木の後ろに隠れているのが東幹です。


ちなみに日本二位の高さの木もこの三本杉のうちの1本です。

三本杉の前には柵がありそれより内側へ入ることはできません。


三本杉があるのは熊出没注意の看板があったり、携帯の電波も届かない場所です。かなりの山の中なので無理に行く必要はありませんが、日本一の高さの木を見てみたい方はぜひ一度行ってみてください。


【花背の三本杉】〒601-1102 京都府京都市左京区花脊原地町 ▶︎地図

峰定寺

住所 : 〒601-1102 京都府京都市左京区花脊原地町
電話 : 075-746-0036