京都市の最北端に位置する左京区久多(くた)地域にしか咲かない花、北山友禅菊を初めて見に行きました。
京都市内から出発したのは土曜日の朝4時。夏の日差しを避けたかったのと、朝露をまとった北山友禅菊を撮影したかったのでなるべく人の少ない時間帯に到着することを目指しました。
山を越え、トンネルをいくつも抜けてさらに細い道を進んだのどかな田舎の集落の先に、薄紫色の花が咲く爽やかな風景が広がっていました。
到着したのは朝6時頃。行くのが大変な場所とはいえシーズン中なのでもう10人くらい本格的なカメラを持った方たちがいました。みなさんは何時起きなのでしょうか…
北山友禅菊が咲く久多へは簡単には行くことができません。なので今回現地で経験したことや情報をまとめました。
いつか行ってみたい方や、行くことを迷っている方の判断材料になれば幸いです。
記事の内容は2022年8月6日に北山友禅菊を訪れたときのものです。
北山友禅菊の観賞園(畑)はいくつかあり正式な名称がわかりません。
それぞれの観賞園の名称は適当です。合計7箇所ありますが、1箇所は知らなかったので行けていません。
インスタグラムに数多く投稿されている、茅葺き屋根と北山友禅菊が一緒に写っている場所を、この記事ではメインの観賞園と呼んでいます。
[ もくじ ]
北山友禅菊とは
ざっくりと言うなら薄紫色をした菊の花です。
北山友禅菊は京都市左京区久多地域に自生していた野生菊、チョウセンヨメナを京都大学などのチームが品種改良して1997年から栽培されています。
現在は観賞用として育てられており、ミレニアムブルーとナオミブルーという2つの品種があります。
ナオミブルーの方が花の色が濃いようで、後ほど紹介する⑥の観賞園がナオミブルー園のようです。
北山友禅菊が一面に咲く風景は夏の久多でしか見ることができません。近年ではこの景色が夏の風物詩となっています。
北山友禅菊の見頃
北山友禅菊が開花するのは夏。
一般には7月下旬から8月上旬が見頃となっています。
現地の方の発信やインスタグラムを見ている限り、2022年の見頃は7月下旬あたり。
私が訪れた2022年8月6日は少し見頃が過ぎていました。雨によって花びらが散ったもの、茎が倒れているものもありました。
北山友禅菊へのアクセス
いちばん下のしるしが京都駅、真ん中が大原の名所三千院、いちばん上のしるしが北山友禅菊です。
公共交通機関がないに等しいので車かバイクでのアクセスになります。京都駅からだと車で約1時間半くらいかかり、かなり道の狭い場所もあります。
北山友禅菊へは東側滋賀の国道367号線(鯖街道)からアクセスするか、西側の京都府道110号側からアクセスする2つのルートがあります。
この記事では、国道367号線(鯖街道)側からアクセスした順番で情報をお伝えします。
国道367号線は上高野あたりから久多へ入るまでガソリンスタンドがほぼないので街中で給油してから向かいましょう。
ちなみに京都府道110号線の京都方面には清水寺の舞台の見本となった峰定寺があります。
峰定寺について詳しく知りたい方はこちらの記事からどうぞ↓
清水寺舞台の見本が現存する京都の山寺、峰定寺の特別拝観と御朱印
北山友禅菊を見に行く前に
現地に行く前にできる事前準備や注意事項をお伝えします。
志古淵神社に公衆トイレ
北山友禅菊の観賞園はシーズン中24時間解放されています。
となると何時に出かけてもよいわけです。そうなると問題になるのがトイレ問題。
早朝などに到着した場合、北山友禅菊周辺のお宅に早朝からトイレ貸してくださいとはなかなか言いにくいもの。
そこで助かるのがメインの観賞園1km手前にある志古淵神社(しこぶちじんじゃ)にある公衆トイレ。
北山友禅菊メインの観賞園周辺には公衆トイレがありません。メインの観賞園周辺でトイレを貸してくれるところは有料になります。
周りのお宅に迷惑をかけないためにもこちらの公衆トイレを利用してから向かいましょう。
ちなみに道が細く狭い場所があるので夜に行くのはおすすめしません。しかも夜は獣よけの柵に電気が流れるので危険です。
夜の景色が見たい場合は周辺に民宿がいくつもあるのでこちらを利用するほうがいいと思います。
ここが北山友禅菊メインの観賞園に最も近い公衆トイレです。神社の裏側(鳥居を正面にすると右側)にあります。
右の写真はトイレにある散策マップの一部。志古淵神社からもう少し西(左)へ進んだ農家民宿治良吉(じろきち)のある辺りが北山友禅菊メインの観賞園です。
虫除け対策
北山友禅菊に行ったことがある方の体験談ではアブやブヨに噛まれて痛みや痒みで大変な思いをしたというものが多くありました。
私の場合は朝早く訪れたせいか虫除けスプレーなどは一切していなかったのに特に噛まれたようなあとはありませんでした。
自然が豊かなところなので虫はいますし、蛇もいました。日中に行かれる方など気になる場合は長袖長ズボン、虫除けスプレーを持参したほうがいいかもしれません。
撮影マナーは守る
近年は撮影マナーの悪い方もいるようです。
基本的に花畑の中には入れません。あぜ道からの撮影になります。
北山友禅菊は地元の方が大切に育てられています。撮りたい写真があるからといって花畑に入って花を踏み倒すようなことは絶対にしないでください。
畑は広いので部分的に切り取りたい場合は望遠レンズを用意しておいた方がいいです。
撮影機材を調整して対応してください。この機会に手持ちの機材を整えるのもいいかと思います。
北山友禅菊基本情報
駐車場 | 1日1回500円(1台に1回1北山友禅菊10本摘み取り無料) |
観賞園入園料 | 全ゲート共通200円 |
摘み取り園 | 北山友禅菊10本摘み取り200円(駐車場利用で無料) |
無人販売 | 北山友禅菊1束300円 |
若干わかりにくいと思いますが必ず必要なのは駐車場代500円。
次に観賞園入園料200円。畑の中(あぜ道)へ入りたい人は支払い、外側から見るだけでいい人は無料のようです。近くで見たい方は入園料も必要になります。
全ゲート共通というのは観賞園が何箇所か点在してあるためだと思います。1箇所で支払えばOKということでしょう。
駐車場代を支払った方は自動的に摘み取り園での北山友禅菊10本摘み取りが無料になります。
ここまでの公共交通機関がないに等しいのでほとんどの人は無料で摘み取る権利が得られます。
摘み取り園、無人販売は利用する方のみ支払えばOKです。摘み取り園、無人販売はメインの観賞園にしかありません。
北山友禅菊の駐車場は2箇所
北山友禅菊メインの観賞園に近い駐車場は2箇所あります。
龍宝寺駐車場
駐車料金 500円
あまりお寺には見えませんがこの建物が龍宝寺。その前が駐車場になっており、メインの観賞園の少し手前にあります。
車4台ほどの小さな駐車場で無人のため料金は設置してある黄色いポストへ入れます。
北山友禅菊専用駐車場
駐車料金 500円
北山友禅菊メインの観賞園の駐車場。摘み取り園の入口の小屋の横にあり、こちらの駐車場も車4〜5台ほどの小さな駐車場です。
ここも料金は設置してある黄色のポストへ。
2022年のイベント、北山友禅菊まつり
2022年7月31日(日)、8月7日(日)は北山友禅菊まつりが行われました。写真撮影会に加え、飲食店などの模擬店も出されていたようです。
7月31日(日)は白馬撮影会やたちかけ姿(昔の野良着姿)の女性達の撮影会なども行われました。行くことはできなかったので上の写真は近くにあった掲示板の写真です。
白馬と北山友禅菊の組み合わせも素敵です。ちなみに馬はいつでもいるわけではありません。イベント限定です。
北山友禅菊の観賞園は1箇所ではない
インスタグラムを見ていると茅葺き屋根と北山友禅菊が写っている場所がよくアップされています。
ここが北山友禅菊かと思いきや、北山友禅菊の観賞園(畑)は1箇所ではありません。
はっきりと分けられるものでもないですが、だいたいで分けると合計7箇所あります。
ただし1箇所は知らなかったので見ていません。この記事には情報のみ載せています。
ここからは国道367号線側からアクセスした順番でお伝えします。ただ正式な観賞園の名前がわかりませんので名称は適当です。
インスタグラムに数多く投稿されている、茅葺き屋根と北山友禅菊が一緒に写っている場所を、この記事ではメインの観賞園と呼んでいます。
北山友禅菊基本情報のところでも書きましたが、観賞園に入るには共通で200円必要です。
観賞園に入るとは畑のあぜ道から見れるということです。花畑の中には入れません。(摘み取り園は除く)
①1番目の観賞園
国道367号線側からアクセスすると最初に目にする観賞園。
写真右側に写っている道の狭さなのでここに車を止めて見るわけにはいかず、これより奥にある駐車場からかなり離れているため全く人がいません。
誰もいないので入っていいのかわからず外側から見るだけにしました。
②③2番目と3番目の観賞園
2番目に目にする観賞園。道を挟んで左右に北山友禅菊の畑があります。
左側の畑の前には百日紅(さるすべり)も咲いていました。
右側の畑。この畑を3番目の観賞園とするかは微妙ですが一応3番目にしておきます。
この2つの畑は入れる場所がなさそうでした。
④茅葺き屋根の廃墟?周辺の観賞園
龍宝寺駐車場から歩いてすぐの場所にある茅葺き屋根のお宅周辺に広がる観賞園。
上の写真はお宅の入口がある東側から撮影したもの。
詳しいことはわかりませんが、以前は何か商売を営んでいたような立派な茅葺き屋根があるお宅の前に畑が1つあります。このお宅の門にはロープがしてあり人の気配がありません。廃墟でしょうか。
茅葺き屋根のお宅入口に卍のマークなので仏様でしょうか、お供えの花にも北山友禅菊が添えられていました。
茅葺き屋根のお宅を別角度(南側)から引きで取った写真。
2・3番目の観賞園までは畑がぽつぽつとでしたが、このあたりから北山友禅菊の畑が連続してあります。
入れない所と入ってもいい所があります。
⑤メインの観賞園
正式な名称がわからないのでこの記事ではインスタグラムに数多く投稿されているこの場所を、北山友禅菊のメインの観賞園と呼んでいます。
茅葺き屋根の農家民宿治良吉さん周辺に広がる鑑賞園。
北山友禅菊で検索すると必ず出てくるのがここ。カメラマンがたくさんいるのもこの場所です。
上の写真は治良吉さんを西側から撮ったもの。
ここでは200円で観賞園の中に入ることができ、北山友禅菊の摘み取りも可能です。
2022年は惜しくも治良吉さんの茅葺き屋根が葺き替え中で、北山友禅菊の見頃にはブルーシートが外れないかなと待っていたのですが結局外れませんでした。
治良吉さんの南側、小屋のある畑が最もきれいに咲いていました。こちらもインスタグラムによくアップされている場所。
治良吉さんの奥(西側)にもう一軒民宿があります。写真左にある小屋の後ろが北山友禅菊専用駐車場。
北山友禅菊写真撮影のポイント
朝日と茅葺き屋根と北山友禅菊
この場所での写真撮影の定番構図が朝日と組み合わせて撮ることのようです。
みなさん東の山から朝日が出るタイミングを狙ってシャッターを切っていました。
この日(2022年8月6日)はくもりだったので朝日はほとんど出ませんでした。
朝日が少し見えたのは朝6時すぎくらい、朝日を撮影したいならこれより前の時間に到着しておかなければいけません。
朝露と北山友禅菊
朝の早い時間帯には霧が発生し、北山友禅菊には朝露がついていてみずみずしくて美しいです。
太陽が当たると消えてしまうのでせっかくなら朝早く訪れるのがおすすめです。
治良吉さんの犬と北山友禅菊
治良吉さんには飼っておられる犬がいるのでこの犬と北山友禅菊を合わせた写真を撮っている方もいました。
犬好き、ペットを飼っている、動物好きには撮りたくなるのもわかります。
距離が遠く畑の中には入れないので望遠レンズでないと狙えません。
北山友禅菊摘み取り園
10本 200円
メインの観賞園にのみ北山友禅菊を自分で摘み取ることができる畑があります。
写真奥の畑が北山友禅菊の摘み取り園です。料金は黄色のポストへ。ハサミなどは用意されています。
摘み取り園の決められた範囲内で、北山友禅菊の摘み取りが可能です。
他の観賞園では花畑の中に入れませんが、メインの観賞園の摘み取り園のみ花畑の中に入れます。
自宅でも北山友禅菊を飾って楽しみたい方は好きな花を選んで持ち帰ることができます。
北山友禅菊の無人販売
1束 300円
自分で摘み取るのがめんどうな方は無人販売もされているので、こちらを購入するのもいいかと思います。料金は赤いポストへ。
この日は朝早い時間に訪れたため補充前なのか1束しか残っていませんでした。
⑥ナオミブルー観賞園
メインの観賞園のさらに奥(西)にある南谷と書かれた看板がある観賞園。
こちらは観賞園はナオミブルー園のようです。全体がそうなのか、部分的に植えられているのかはわかりません。
ここは山が近くさらに自然が豊かです。大自然と北山友禅菊を絡めた写真が撮れます。
ミレニアムブルーよりナオミブルーの方が色が濃いとのことですが…
確かに言われてみれば濃いような。素人には見分けるのがなかなか難しいです。
この観賞園はあまり人が来ないのか生き物たちがいっぱい。
カエルやバッタなどはいいですが蛇にも遭遇しました。行かれる方は気おつけて。
⑦離れた観賞園
帰ってからこの記事を書くために北山友禅菊のことを調べていると、冒頭で紹介した志古淵神社にある公衆トイレ側の道の先にも観賞園があるようでした。
まさかメインの観賞園と離れた場所にもあるとは…
実際に行ってないので本当にあるかどうかはわかりませんが、せっかくあんなに遠い所まで行ったのに見ないで帰ったのは悔しいです。
推定ではありますが散策マップに場所を入れておきました。
国道367号線側(マップ右側の道)からアクセスすると志古淵神社前を右折して進んだ先、紫の丸の範囲あたりにあるようです。
次回行くとしたら自分の目で確かめてみたいです。みなさんも行くことがあればもう一つ観賞園があることを忘れずに。
北山友禅菊
住所 : 〒520-0463 京都府京都市左京区久多宮の町203