【京都あじさいのお寺3選】三室戸寺•善峯寺•柳谷観音楊谷寺の比較とそれぞれの特徴を紹介

柳谷観音楊谷寺あじさい花手水

湿気が多い京都の梅雨を爽やかにしてくれる花あじさい。あじさいの花は雨がよく似合い、見頃である梅雨の時期、6月の雨の日、または雨の次の日はいっそう綺麗です。


京都のお寺の中にはあじさいの名所として知られているお寺がいくつかあります。


その中から今回は三室戸寺•善峯寺•柳谷観音楊谷寺の3つのお寺のあじさいについてその特色を比較し、各お寺のあじさいの見どころも合わせて紹介します。


この記事を読んでいただければ自分に合った行くべき京都のあじさい寺が見つかると思います。


観光するのに雨はあまり好まれる天気ではありませんがあじさいの花はくもりや雨のしっとりとした雰囲気とよく似合うので、できればそれらの天候に合わせて行くのがおすすめです。

【この記事で紹介する京都のあじさい寺3箇所】
・三室戸寺(みむろとじ)
・善峯寺(よしみねでら)
・柳谷観音楊谷寺(やなぎだにかんのんようこくじ)以下本文内は楊谷寺に省略します。

三室戸寺•善峯寺•柳谷観音楊谷寺の比較

雨上がりの紫陽花

今回紹介する3つのお寺を様々な面から比較してみました。


結論から言えば三室戸寺•善峯寺•楊谷寺のうち1つも行ったことがなければ、最初は三室戸寺から行くことをおすすめします。


以下でその理由を各条件から比較して説明します。

あじさいの数

1位三室戸寺20,000株(あじさい園)+境内にもあり
2位善峯寺約8,000株(白山桜あじさい苑)+境内にもあり
3位柳谷観音楊谷寺約5,000株(境内)

あじさいの数が一番多いのは三室戸寺。あじさい園の他に境内にもあじさいがあります。


とにかくたくさんのあじさいが見たいなら三室戸寺のあじさい園をおすすめします。

京都駅から公共交通機関でのアクセスの良さ

1位三室戸寺★★★★★
2位善峯寺★★★
3位柳谷観音楊谷寺

上のマップは三室戸寺•善峯寺•楊谷寺の位置関係です。


京都駅から公共交通機関で行く場合、今回紹介する3つのお寺は正直どれも遠いです。


その中でも最もアクセスが良いのは三室戸寺。京都駅からは電車のみで最寄りの三室戸駅まで到着します。


次が善峯寺。京都駅からは電車とバスの乗り継ぎで到着。最寄りバス停から吉峯寺までは近いですがバスの本数は少ないです。


最後が楊谷寺。京都駅からは電車とバスの乗り継ぎで行くことになりますが、最寄りのバス停から歩いて40分ほどかかります。公共交通機関でのアクセスはおすすめできません。近県からは車かバイク、遠方からは京都駅からのレンタカー利用がおすすめです。

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歴史が古いお寺

1位三室戸寺770年創建 [奈良時代]
2位柳谷観音楊谷寺806年創建[平安時代]
3位善峯寺1029年創建 [平安時代]

創建が一番古いのは三室戸寺。


現在の本堂•三重塔などは江戸時代のもの。御本尊の千手観世音菩薩は秘仏のため公開はされていません。


三室戸寺は『源氏物語』宇治十帖に登場する架空の人物、浮舟の古蹟でもあります。

あじさいの写真を撮るなら

1位善峯寺・高低差を活かしたいろいろな角度からあじさいの撮影ができる。
・建物とあじさいの組み合わせもできる。
2位柳谷観音楊谷寺・SNS映えするかわいい写真が撮れる
・建物とあじさいの組み合わせもできる。
3位三室戸寺・たくさんの種類のあじさいが撮影できる。
・伽藍と離れているため建物とあじさいの組み合わせができない。

どんな写真を撮りたいかという目的によって順位は変わると思います。このランキングは「いろいろな条件であじさい撮影ができる」ということを重視した順位です。


写真を撮る場合あじさい単体ばかりを被写体にしても面白くないと思うので、境内の建物とあじさいを組み合わせて撮影できるお寺を上位にしました。


1位と2位は男性か女性かによって逆転すると思います。


善峯寺は男性カメラマン向け、楊谷寺はスマホでよく写真を撮る女性向けという感じです。


三室戸寺はあじさい園と伽藍が離れているため建物を含めたあじさいの写真を撮ることが難しいです。


あじさいの写真をいろいろな条件で撮るということでいえば善峯寺・楊谷寺も決して三室戸寺に負けてはいません。


総合的には三室戸寺の評価が高くなりましたが、以下で各お寺のあじさいの特徴や見どころを詳しく紹介します。

三室戸寺(京都府宇治市)

三室戸寺あじさい園

京都府宇治市にある三室戸寺の境内には広大なあじさい園があります。

あじさい園は本堂や三重塔などがある伽藍から少し離れた場所にあります。


三室戸寺の創建は奈良時代の770年、光仁天皇の勅願により行表が開きました。御本尊は千手観世音菩薩。


三室戸寺は日本最古の巡礼路「西国三十三所観音霊場」第10番札所になっています。


「西国三十三所観音霊場」ってなに?と思った方はこちらの記事からどうぞ↓
西国三十三所を1日で回る!?京都国立博物館の特別展【体験レポート】

三室戸寺のあじさいの特徴

・あじさい園に2万株約50種のあじさい。

・あじさい園は歩きやすい。

・あじさい園はライトアップもされる。


【おすすめの人】お散歩、デート、女性、着物での女子旅、カップル、家族

【おすすめの天気】くもり・雨・晴れ

着物でも歩きやすい三室戸寺のあじさい園

三室戸寺あじさい園

あじさい園では視界いっぱいに広がるあじさいを見ることができます。


純粋にあじさいを見て楽しむなら三室戸寺のあじさい園が一番です。


あじさいのお花畑の中を歩いていく感じで、今回紹介する京都のあじさい寺3箇所の中で最も歩きやすいです。


お散歩、デートなどにもおすすめです。訪れてみると着物を着た女性達が記念写真を撮っているところもよく見かけます。


女子旅などで着物を借りてあじさい園を散策するのも京都のあじさいシーズンの楽しみとしてよいのではないでしょうか。

あじさいの種類が豊富

三室戸寺の紫陽花

三室戸寺のあじさい園はあじさいの種類が約50種と多く、一般的によく植えられているあじさいの他に様々な種類のあじさいを見ることができます。

普通あじさいと聞いて想像するもの以外のあじさいを集めてみました。この他にもめったに見れないあじさいもあるのだとか。


1つの花の色がグラデーションになっているあじさいもありました。

三室戸寺のハート型紫陽花

あじさいの数が多いので運が良ければ女性に人気のハート型あじさいも見つかるかもしれません。

善峯寺(京都府京都市西京区)

善峯寺多宝塔と紫陽花

京都市西京区にある善峯寺には、境内のあちこちにあじさいが植えられています。

また山の斜面を利用した白山桜あじさい苑があります。

善峯寺の創建は平安時代中期の1029年、源算上人により開かれました。御本尊は千手観世音菩薩。


善峯寺は日本最古の巡礼路「西国三十三所観音霊場」第20番札所になっています。


公共交通機関でのアクセスがあまり良くないので車やバイク、レンタカー利用がおすすめです。


善峯寺はあじさいの他にも、春の桜、秋の紅葉と季節ごとの景色が美しいお寺です。
フォトスポットとしてもおすすめなので詳しく知りたい方は下記のリンクからどうぞ↓


【京都西山のフォトスポット】善峯寺の桜•あじさい•紅葉の写真を撮る

善峯寺のあじさいの特徴

・高低差のある伽藍に植えられたあじさい。

・あじさい苑に植えられた山の斜面一面のあじさい。

・あじさいが咲いている場所のアップダウンが激しいので全ての場所を回ると体力を使う。


【おすすめの人】家族、写真好き、男性カメラマン、絶景が好きな人

【おすすめの天気】くもり・晴れ

高低差のある伽藍とあじさい

善峯寺境内図

写真 : 善峯寺パンフレット

善峯寺の伽藍拝観はいちばん下にある山門から上へ上へと山を登って行き、最も高い場所にある薬師堂まで階段や坂道が続きます。


薬師堂までの道中、あじさいがたくさん植えられている場所があります。

善峯寺の紫陽花

経堂裏から桂昌院廟へと続く階段あたりにあじさいがたくさん植えられています。階段の高低差を生かして様々な角度からあじさいの写真が撮れます。

善峯寺の紫陽花

山の中腹にある釈迦堂から頂上にある薬師堂へと続く道にもたくさんのあじさいが植えられています。

善峯寺のアナベル

高い所にもあじさい(写真はアナベル)が植えられているので、あじさい越しに京都市街を一望することもでき景色も楽しめます。

白山 桜あじさい苑

善峯寺白山桜あじさい苑

善峯寺伽藍の東側にある白山桜あじさい苑。


約8000株のあじさいが山の斜面一面に植えられた景色は圧巻です。ここだけでも見る価値はあると思います。


先に紹介した三室戸寺のあじさい園とは違い、山の斜面なので下から上まではかなりの高低差があります。

善峯寺白山桜あじさい苑

白山桜あじさい苑の上のところ。


道はきれいなので着物でも歩けなくはありませんが、傾斜がかなりあるので動きやすい服装の方がおすすめです。

善峯寺白山桜あじさい苑

白山桜あじさい苑の中間のところ。


入口にある幸福地蔵が安置されている建物から眺めると全体が見渡せます。

善峯寺白山桜あじさい苑

白山桜あじさい苑の下のところ。


下から上を見上げるとまた違った景色が楽しめます。奥にある建物が幸福地蔵。


高低差が激しい分いろいろな角度からあじさいを楽しめ、写真撮影も楽しめます。

写真好きの方はカメラの機材を整えて、善峯寺へあじさいの撮影に出掛けてみてはいかがでしょうか。

柳谷観音 楊谷寺(京都府長岡京市)

柳谷観音楊谷寺6月

京都府長岡京市にある楊谷寺は花手水(はなちょうず)が有名です。

季節ごとに美しい花手水がつくられています。

楊谷寺の創建は平安時代前期の806年、清水寺開祖の延鎮によって開かれました。御本尊は千手観世音菩薩。


楊谷寺は善峯寺・光明寺とともに洛西観音霊場を代表する「西山三山」の一つです。


公共交通機関でのアクセスは今回紹介する3つのお寺の中でいちばん悪いです。

毎月縁日(17日)に限りシャトルバスが「阪急西山天王山駅」、「JR長岡京駅」の2カ所から発着しています。

それ以外は最寄りのバス停「奥海印寺」から40分ほど歩くか、最寄駅からタクシーのどちらかで行くしかありません。


【都タクシー予約専用番号】☎︎075-661-6611

・阪急「西山天王山駅」からタクシー10分程度
・阪急「長岡天神駅」からタクシー15分程度
・JR「長岡京駅」からタクシー15分程度


階段が多いので動きやすい服装で行くのがおすすめです。

楊谷寺のあじさいの特徴

・美しいあじさいの花手水がある。

・あじさい廻廊では渋い雰囲気のあじさいが見れる。

・建物の中からあじさいが鑑賞できる。


【おすすめの人】デート、女性、写真好き、女性カメラマン、御朱印好きの人、バイク乗り、自転車乗り

【おすすめの天気】雨・くもり

美しいあじさいの花手水

柳谷観音楊谷寺の花手水

楊谷寺は花手水が人気のお寺。あじさいのシーズンはもちろんあじさいの花手水になります。山奥のお寺までわざわざ足を運ぶ理由がこの花手水です。


楊谷寺は各所に花手水が設けられており、最も豪華な花手水はあじさいがぎっしり詰まっていてインパクトがありインスタ映えすること間違いなし。毎年6月のあじさいのシーズン(あじさいウイーク)に登場します。


女性に人気なので男性の方は彼女や女性、奥さんなどを連れてきてあげると喜ばれると思います。

花手水のある場所
柳谷観音楊谷寺の花手水マップ

楊谷寺には上の写真の赤枠で囲んだ部分、合計5箇所花手水が設置されています。

伽藍の各所に設けられた花手水はそれそれ趣向が凝らされています。最も有名なのは上の写真の太い赤枠で囲った龍手水。山門受付入ってすぐ左にあります。


花手水は毎年同じものになるとは限らないので、以下では2021年あじさいのシーズンに楊谷寺境内を飾っていた花手水を紹介します。


※各花手水のデザインは年によって変更されることがあります。

龍手水
柳谷観音楊谷寺の龍手水

楊谷寺で一番大きく豪華な花手水。ネットやSNSなどでよく見かけるのはこの龍手水です。


ここ数年はカラフルなあじさいがぎっしり詰まったもの。

庭手水

柳谷観音楊谷寺の庭手水

楊谷寺の拝観は本堂から靴を脱いで上がり奥の院まで建物の中を進みます。


本堂を抜けて名勝庭園である浄土苑の入口付近にあるのがこの庭手水。

恋手水

柳谷観音楊谷寺の恋手水

庭園を座って眺められる書院から上書院へ続く階段の登り口にある恋手水。雨だと庭園の緑もいっそう鮮やかです。

琴手水・苔手水

左の写真が琴手水。水琴窟と手水が一緒になっています。上書院を抜けたあじさい廻廊の階段の登り口にあります。


右の写真が苔手水。寺宝庫の横にあります。

建物の中からあじさいが見れるあじさい廻廊

柳谷観音楊谷寺境内案内図

楊谷寺は境内に約5,000株のあじさいがあります。上の写真水色の点々で表されているところがあじさいが植えられている場所です。


その中でも見どころは上の写真の赤枠で囲んだ部分、上書院から奥之院まで続くあじさい廻廊です。


廊下の両サイドに植えられたたくさんのあじさいを建物の中から鑑賞できます。

今回紹介する3つのお寺の中で、楊谷寺だけ屋根があるところからあじさいが見れます。

あじさいは雨の多い梅雨の時期の花なので、突然の雨にも屋根があれば安心です。


また雨の日に訪れても見やすく、傘がいらないのであじさいの写真も撮りやすいです。

柳谷観音楊谷寺あじさい廻廊

途中から屋根がトタンになり柱が鉄骨に変わる所があって雰囲気は少し崩れますが、外側にあるあじさいはきれいです。あじさいの渋めの写真が撮りたい方は楊谷寺のあじさい廻廊がおすすめです。

あじさい廻廊の右側にはカラフルなガクアジサイが、左側には主にブルーのテマリアジサイが植えられています。


日の当たる境内のあじさいとは違い、日陰の部分が多くしっとりとした雰囲気のあじさいが見れます。


きちんと整備された明るいイメージの三室戸寺・善峯寺に比べ、楊谷寺のあじさい廻廊は侘び寂びを感じるような渋さがあります。

柳谷観音楊谷寺あじさい廻廊

剥がれた塀と苔むした石垣に深いブルーと紫のあじさいがよく合います。


京都のあじさいのフォトスポットではここが一番渋い場所だと個人的には思っています。


華やかな花手水と真逆の渋い写真が撮れるのも楊谷寺のいいところ。可能であればぜひ雨の日に訪れてほしいお寺です。

柳谷観音楊谷寺奥の院

あじさい廻廊は奥之院まで続き、奥之院からまた境内へと出ます。


奥の院から戻る道にもたくさんのあじさいが植えられています。


SNSの発達した現在穴場と言うのはなかなか難しいですが、今回紹介する3つのお寺の中で京都あじさい観光の穴場と言えるのは楊谷寺になります。


行くのは大変ですがぜひ一度訪れてみてください。

三室戸寺基本情報とアクセス

三室戸寺

住所 : 〒611-0013 京都府宇治市莵道滋賀谷21
電話 : 0774-21-2067

◆拝観時間
8時30分~16時30分(4月1日~10月31日)
8時30分~16時00分(11月1日~3月31日)
※8月13・14・15日、12月29・30・31日は休み

◆拝観料
【平常】大人 500円 小人 300円
【あじさい園開園期間中】大人 1,000円 小人 500円

◆駐車場 : 乗用車 500円

◆アクセス
京阪「三室戸駅」下車、徒歩15分。

善峯寺基本情報とアクセス

善峯寺

住所 : 〒610-1133 京都府京都市西京区大原野小塩町1372
電話 : 075-331-0020

◆拝観時間
【平日】8時30分~17時
【土日祝日】8時~17時

◆拝観料 : 大人 500円 高校生 300円 小・中学生 200円

◆駐車場 : 普通車 500円

◆アクセス
JR向日町駅(JR京都線)または阪急東向日駅(阪急京都線)から阪急バス66番(善峯寺行き)終点「善峯寺」下車、徒歩8分。 

楊谷寺基本情報とアクセス

柳谷観音 楊谷寺

住所 : 〒617-0855 京都府長岡京市浄土谷堂ノ谷2
電話 : 075-956-0017

◆拝観時間
9時~17時

◆拝観料
【通常期】500円
【ウイーク開催時】 700円 ※高校生以下 無料

◆駐車場 : 無料駐車場あり。一部有料(最初の60分500円、以降60分毎200円)

◆アクセス
JR「長岡京駅」・阪急「長岡天神駅」・阪急「西山天王山駅」より阪急バス「奥海印寺」下車、徒歩40分。

毎月17日(縁日)のみシャトルバス「阪急西山天王山駅」・「JR長岡京駅」の2カ所から発着。