秋の紅葉シーズンになると観光客が増える京都。
紅葉と古都の風情を楽しみたいけれど、紅葉の名所はどこも人だらけ、紅葉を見に来たはずが人が多すぎて疲れてしまった。
または写真を撮ったけど紅葉より人の方が多く写っている。そんな経験はないでしょうか?
この記事では混雑を避けてゆっくりと京都の紅葉を楽しみたいという人のために、比較的空いている紅葉スポットを紹介します。
混雑する場所が苦手な方、ゆっくり散歩したり紅葉の写真を撮ったりしたい方におすすめです。
庭園に池があるお寺、等持院(とうじいん)と法金剛院(ほうこんごういん)。
有名観光地から近い場所にある、清閑寺(せいかんじ)と雙林寺花月庵(そうりんじかげつあん)。
この4つのお寺の紅葉シーズンの様子をお伝えします。
[ もくじ ]
京都紅葉の名所といえば、東福寺と永観堂
京都で紅葉の名所といえばまず最初にあがるのが東福寺か永観堂(禅林寺)。
この2つのお寺は京都の紅葉スポットの定番です。
私も紅葉の時期に行ったことがあり、境内を埋め尽くすような紅葉は確かにきれいです。
しかしその反面人が多すぎるため近年の紅葉シーズンには近づいていません。
もちろん定番のこの2箇所に行ったことがない人はこちらから先に行ったほうがいいと思います。
ただし紅葉シーズンの東福寺•永観堂へ行く場合は、混雑を覚悟で行ったほうがいいでしょう。
大混雑する紅葉シーズンの東福寺
上の写真は2019年11月23日、お昼12時ごろの東福寺通天橋チケット売り場の様子です。
あまりの長蛇の列だったので思わず写真に撮ってしまいました。紅葉シーズンの東福寺の混雑は異常です。
バスツアーなど団体の観光客も押し寄せ境内は人でいっぱいになります。紅葉を見に行っているはずが人を見に行っているようにもなりかねません。
このような長い待ち時間や、混雑を避けてゆっくりと京都の紅葉を楽しみたい方のために、比較的空いてるお寺を4箇所紹介します。
京都の紅葉スポット、比較的空いているお寺4選
これから紹介する4つのお寺は、お寺の広さや紅葉の多さはもちろん東福寺や永観堂にはかないません。
しかし紅葉シーズンでも比較的空いているお寺なのでゆっくりとした時間を過ごすことができます。
見学時間が1時間くらいの中規模のお寺と、見学時間が30分以内の小規模のお寺に分けて紹介します。
中規模は等持院と法金剛院、小規模は清閑寺と雙林寺花月庵です。
これから紹介する4つのお寺は、こんな人におすすめです。
・京都の人気の紅葉スポットは既に行ったことがある。
・紅葉は見たいけど混雑するのは嫌だ。
・ゆっくり紅葉が見たい。
・ゆっくり紅葉の写真が撮りたい。
・最寄り駅から近いところがいい。
・有名な観光地から近いところがいい。
庭園に池がある紅葉スポット2箇所(中規模のお寺)
等持院と法金剛院は庭にある池の周りを歩きながら紅葉を楽しむことができます。
この2つのお寺はある程度知られてはいますが、周辺に世界遺産の龍安寺や仁和寺などの有名な紅葉スポットがあるため比較的人は少ないです。
池の周りをゆっくり散歩したり、池に反射した紅葉を写真に撮ったりすることもできるお寺です。
最寄り駅から近いのがメリットですが、その反面住宅街にあり写真を撮ろうとすると周りの建物が写ってしまうのがデメリットになります。
写真撮影は構図を考えたりレンズを交換したりして工夫が必要かもしれません。
撮影機材を整えて、紅葉撮影に出かけましょう。
室町幕府初代将軍・足利尊氏が建てたお寺、等持院(京都市北区)
等持院は、京福電鉄北野線「等持院・立命館大学衣笠キャンパス前駅」から徒歩約5分の電車でアクセスしやすいお寺です。
拝観料 : 大人 500円 / 小人 300円
拝観時間 : 午前9時~午後4時30分(午後4時受付終了)
紅葉の写真は全て2020年11月18日に撮影しました。
夢窓疎石作の庭園心字池
等持院には西の庭園・芙蓉池(ふようち)と東の庭園・心字池(しんじいけ)があり、紅葉があるのは心字池の方。池の周辺に紅葉が植えられています。
この庭園の原型は、苔寺として知られている西芳寺(さいほうじ)の庭園や世界遺産天龍寺の庭園も作った禅僧の夢窓疎石(むそうそせき)が作庭したとされています。
中ノ島(妙音閣跡)
心字池の周りを歩いていくと池の中に島があり、そこに紅葉がたくさん植えられています。
この島にはかつて妙音閣という建物がありました。
島の中には橋を渡って入ることができます。光に照らされた紅葉がきれい。
池に反射した紅葉や、ススキと紅葉を組み合わせた写真なども撮ることもできます。
方丈庭園
方丈の前庭にも紅葉が植えられています。こちらの庭は禅宗のお寺らしい枯山水。
方丈に座って静かな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
また書院では抹茶などをいただきながら庭を眺めることができます。
等持院は紅葉の他にも皐月(サツキ)がきれいです。
等持院の皐月のシーズンもまとめてあるので詳しく知りたい方はこちらのリンクからどうぞ↓
【ゆっくりできるお寺】京都等持院、皐月と紅葉の観光ベストシーズンを紹介
2020年阿弥陀如来像が国宝になった法金剛院(京都市右京区)
法金剛院は、JR嵯峨野山陰線「花園駅」から徒歩約5分の電車でアクセスしやすいお寺です。
拝観料 : 500円(2021年秋の公開)
拝観時間 : 午前9時30分~午後4時30分(午後4時受付終了)
拝観は要確認。拝観日が決められている場合があります。
電話 : 075-461-9428(受付午前9時〜午後4時)
紅葉の写真は全て2021年11月26日に撮影しました。
極楽浄土の庭
法金剛院の庭は、平安時代末期につくられた浄土式庭園。
浄土式庭園は平等院鳳凰堂のように、西に阿弥陀如来を祀ってその前に池を作り極楽浄土を再現しようとしたもの。
平等院と同じく、法金剛院も西に2020年国宝に昇格した院覚(いんかく)作の阿弥陀如来が祀られています。
夏には池に蓮(はす)の花が咲き誇り、蓮の名所としても知られています。
池の周りに紅葉が植えられており、歩きながら変化する景色が楽しめます。
庭園の一部には砂浜を表す石を敷き詰めた州浜(すはま)もあります。
池の中には小さな亀島があります。
日本最古の人工の滝、青女の滝
庭園の奥には青女の滝(せいじょのたき)という日本最古の人工の滝があります。
平安時代の1130年に法金剛院を復興した待賢門院(たいけんもんいん)が仁和寺僧の林賢に作らせ、その3年後に徳大寺静意が滝を約2メートル高くしました。
作られた時代や、制作した人物がわかっていることが貴重で国指定特別名勝になっています。
法金剛院のドウダンツツジ
法金剛院は紅葉だけでなく、入口の門周辺にあるドウダンツツジもきれいです。
平安時代初め頃の法金剛院には珍しい花や美しい花が植えられていました。そこから「花園」という地名が生まれたといわれています。
いにしえの花園を想像しながら秋の法金剛院をゆっくり散策してみるのも楽しいかもしれません。
たまに団体客が来ることと、写真撮影が制限されていることから今回は除外した洛北蓮華寺というお寺があります。
等持院、法金剛院に比べて小さなお寺ですがここも紅葉シーズンがおすすめです。
洛北蓮華寺について詳しく知りたい方は下記のリンクからどうぞ↓
【京都紅葉の名所】カメラで撮りたくなる蓮華寺 紅葉シーズンの拝観と御朱印
有名観光地から近い穴場の紅葉スポット2箇所(小規模のお寺)
清閑寺と雙林寺花月庵は京都で人気の観光地、祇園から歩いて行ける距離にある規模の小さいお寺です。
紅葉の穴場ともいえるひっそりとした場所で、静かに紅葉を楽しみたい人におすすめです。
先に紹介した等持院、法金剛院より知名度はかなり低く紅葉シーズンでも空いているはずです。
見学するには30分もかからない場所なので、気に入らなければすぐに他へ移動できます。
清閑寺と雙林寺花月庵は庭のみの拝観になります。建物の中へは入れません。
清水寺から徒歩でアクセスできる清閑寺(京都市東山区)
清閑寺は清水寺子安塔の方にある門から500mのところにあり、清水寺境内から歩いて行くことができます。
拝観料 : 100円(庭のみ)
拝観時間 : 午前8時~午後4時
紅葉の写真は全て2021年12月1日に撮影しました。
歌の中山清閑寺
清水寺のにぎわいから少し離れて、歌の中山と呼ばれる道を抜けると静かな山のお寺が現れます。
こちらは本堂と鐘楼のみの小さなお寺で、入れるのは庭のみ。ひっそりとした庭で紅葉が楽しめます。
平安時代に創建され鎌倉時代までは清水寺と境界争いを起こすほどの大寺院でした。
応仁の乱以降衰退し、その後復興されるも以前の姿には戻りませんでした。
清閑寺は清水寺の紅葉を見た後、帰りにちょっと寄ってみるくらいがちょうどいいお寺です。
写真奥の門は清閑寺の入口。門に掛けてある賽銭箱(さいせんばこ)に100円を入れて中に入ります。
小さなお寺ですがちょっとした苔庭もあります。
茶室郭公亭
鐘楼の上の方にあった茶室郭公亭(かっこうてい)は、幕末に清水寺成就院の日照上人が、西郷隆盛と密談した場所。
老朽化のため1991年に解体されました。現在は石碑と解体前の写真が境内に残ります。
要石
清閑寺の境内には要石(かなめいし)という石が置かれています。
ここから京都市内を見渡すと、左右に山があることから扇状に見えるので扇の中央にあたる部分にある石を要石と呼んでいます。
清閑寺は西側が開けており、角度によっては京都タワーも見えます。
歌の中山と呼ばれる道、清水寺から清閑寺へのアクセス
清閑寺へは国道1号線から行くこともできます。しかし交通量が多く、清水寺の拝観料400円はかかってしまいますが清水寺境内から歩いたほうが安全です。
清水寺の舞台から見ると小さく見えている子安塔の近くにある門(写真左)から行くことができます。
ここから清閑寺へと続く道あたりは歌の中山といわれ、古来より多くの歌が作られました。
しばらく道なりに歩くと歌の中山清閑寺と書かれた石柱(写真右)があります。
ものすごい山道に入っていく感じに見えますが、この道はすぐに開け清閑寺が見えます。
高倉天皇後清閑寺陵
清閑寺のすぐ近くには高倉天皇後清閑寺陵(たかくらてんのうのちのせいかんじのみささぎ)があり、ここにも立派な紅葉が植えられています。
私が訪れたときはすでに散り気味だったのですが、見頃に行くことができればきれいな景色が見れそうです。
高台寺から徒歩3分、雙林寺 花月庵(京都市東山区)
雙林寺花月庵は、高台寺から歩いて3分ほどで行けるところにあります。
拝観料 : 無料(庭のみ)
拝観時間 : 午前9時~午後4時
紅葉の写真は全て2021年12月2日に撮影しました。
西行ゆかりの雙林寺花月庵
雙林寺花月庵は清閑寺に比べ、はるかに規模が小さいです。見学は正直10分かからないかもしれません。
狭い土地にちょっとした建物と石碑、茅葺き屋根の小さな花月庵(西行堂)があるのみです。
お堂の別名からもわかるように、この場所は僧侶で歌人の西行法師ゆかりの場所。
1140年23歳で出家した西行は翌年から雙林寺の塔頭、蔡華園院(さいけおんいん)に住していました。
蔡華園院の跡地とされるこの場所に、現在は花月庵が建っています。
「花月庵」の扁額は江戸時代に修繕をした歌人・冷泉為村(れいぜいためむら)の書で、堂内には西行像・頓阿像を安置(非公開)。
ここは近くにある京都十二薬師、第七番札所雙林寺の飛地境内になります。
西行の有名な和歌、「願わくば 花の下にて 春死なん その如月の 望月の頃」は雙林寺の境内で詠まれたものではないかといわれています。
お隣にある大きな茅葺き屋根の建物、西行庵の左に雙林寺花月庵の入口があります。気づかずに素通りしてしまうくらいの小さな門。
入っていいのかちょっとためらってしまいますが入ってもいいところです。
道の少し奥まったところにあるので初めてだとわかりづらいかもしれません。
私も京都に長年住んでいながらこんな所があるのは全く知りませんでした。
花月庵(西行堂)から入口の門を撮った写真。狭いのがわかると思います。
けっこう雑然としているのできれいな庭園が見たい方にはおすすめできません。わびさびの雰囲気が好きな方にはおすすめです。
ここは祇園周辺のお目当ての観光スポットの帰りに、ちょこっと寄るぐらいがちょうどいい場所です。
雙林寺は西行を慕って松尾芭蕉も訪れました。雙林寺花月庵には芭蕉の碑や俳人たちの供養塔なども並んでいます。
西行庵の庭
雙林寺花月庵からはお隣にある西行庵の庭を見ることができます。これがちょっとだけお得です。
少しややこしいですが雙林寺花月庵とお隣の西行庵はまったく関係がありません。
西行庵は事前予約制で定員は2名からなので、予約をしていないと中には入れません。
ですが雙林寺花月庵からは西行庵の庭を少しだけ見ることができます。この庭のひなびた感じもなかなか素敵です。
祇園周辺で観光した後は歌人、俳人たちに古くから愛された場所、雙林寺花月庵へも足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
高台寺から雙林寺花月庵へのアクセス
高台寺からは歩いてすぐ。周辺にある有名な観光地、知恩院や円山公園、八坂神社からも近い距離にあります。
各お寺の基本情報とアクセス
等持院
住所 : 〒603-8346 京都市北区等持院北町63番地
電話 : 075-461-5786
法金剛院
住所 : 〒616-8044 京都市右京区花園扇野町49
電話 : 075-461-9428
清閑寺
住所:〒605-0000 京都市東山区清閑寺歌の中山町3
電話:075-561-7292
雙林寺花月庵(西行堂)
住所:〒605-0072 京都府京都市東山区鷲尾町525