【唯一残った東大寺の阿弥陀仏】鳥羽の大仏、京都一念寺の拝観と御朱印

一念寺阿弥陀如来

京都市南区にある世界遺産•東寺から西へ少し行くと、平安京の玄関であった羅城門跡の石碑が建っています。そこから南へまっすぐ伸びる道は鳥羽作道(とばのつくりみち)といわれる平安京造営に伴って作られた古い道。


現在は旧千本通となっているこの道は鳥羽を経由し、淀方面に通じています。
この道の途中、伏見区下鳥羽に一念寺という浄土宗のお寺があります。


一念寺のご本尊は高さ約220cmの阿弥陀如来の坐像。この仏像は奈良の東大寺から移されたと伝わっており、鳥羽の大仏(おおぼとけ)とも呼ばれています。


一念寺は通常公開されているお寺ですが、通常時は電話確認が必要なため確実に拝観できる毎年10月に行われている浄土宗寺院のイベント、「京都浄土宗寺院特別大公開」の時に訪問しました。


観光寺院ではない小さなお寺なので見るものは少ないですが仏像好きの方は訪れて損はないと思います。京都のほとんどのお寺では仏像の写真は撮れませんが、

一念寺のご本尊•阿弥陀如来坐像は写真撮影が可能です。

この記事では2024年「京都浄土宗寺院特別大公開」で公開された時の一念寺の内容をまとめました。興味を持った方は是非一度訪れてみてください。

2024年「京都浄土宗寺院特別大公開」一念寺基本情報

公開場所一念寺
公開期間2024年10月19日(土)• 20日(日)
時 間午後1時~午後4時
拝観料なし 
公開内容•本堂
•阿弥陀如来坐像(鳥羽の大仏)
•名残の名号など
宗 派浄土宗
御本尊阿弥陀如来
アクセス・京阪本線「中書島駅」下車 徒歩約35分
・京都市バス「中書島」乗車、「横大路」下車 徒歩約5分
駐車場・駐輪場【普通車】3台ほどスペースあり、使用はしてないがおそらく無料
【バイク・自転車】駐車場横のトイレ前に小スペースあり、無料

今回は2024年10月の「京都浄土宗寺院特別大公開」で訪れましたが一念寺は通常公開されています。普段も拝観することはできますが、留守にしていることも多く拝観希望の場合は要連絡とのことです。


一念寺【電話】075-611-3434

一念寺の歴史

寺伝によると一念寺は飛鳥時代の674年、宇治橋を架けたことでも知られる僧•道昭によって創建されました。当時は奈良の元興寺に属する法相宗のお寺。


その後衰退しましたが室町時代の1437年、後亀山天皇の皇子•真阿(しんあ)によって東大寺の念仏堂より丈六阿弥陀如来像を移して再興し浄土宗に改められました。

2024年「京都浄土宗寺院特別大公開」の公開内容

一念寺

一念寺の門を入るとすぐに本堂。中に入ると座席の前に木魚が用意されていて、1時•2時•3時から最初の5分間はご住職と一緒に木魚を叩きながら「南無阿弥陀仏」を唱えます。


続いて一念寺の縁起について説明がありその後は次の木魚念仏が始まる時間まで御朱印をいただいたり、写真撮影をしたり自由に見学できます。


見学できるのは本堂内だけなので見学の時間は30分もあれば十分です。

本堂

一念寺本堂

近年檀家の方たちによって新しく建てられた本堂。建て替える前の本堂は大人数は入れないほど小さく天井を削ってご本尊を安置していたそうです。

本尊•丈六阿弥陀如来「鳥羽の大仏」

一念寺本堂内部

一念寺のご本尊は東大寺の念仏堂から移されたと伝えられる丈六の阿弥陀如来坐像。


東大寺には同じような阿弥陀如来像が全部で10体ありました。しかし東大寺の念仏堂は後に焼失し、9体の像は失われ京都の鳥羽にあったこの1体だけが残りました。

一念寺阿弥陀如来坐像

東大寺から移された仏像と伝えられているだけあってしっかりとした造りの美しい阿弥陀如来坐像。このような仏像が10体も並んでいた東大寺の念仏堂はものすごい空間だったのだろうと想像させてくれます。

張りがある顔としっかりとした体、光背には小型の仏像が13体と上部にはさらに小さい仏像がびっしりと並んでいます。

ご住職のお話では真阿が後亀山天皇の皇子であったため、東大寺から仏像を持ってくることができたのではないかと推測されていました。また平等院の阿弥陀如来と比較されることもあるそうで、ご住職はもちろん一念寺の阿弥陀如来の方がいいと仰っていました。


好みはあると思いますが私も一念寺の阿弥陀如来の方が好きです。仏像が好きな方には是非一度見てもらいたい仏像です。

本堂内は仏像も含め写真撮影が可能。

ただし内側(内陣)には入れないのである程度離れた距離からの撮影になります。仏像を真横から撮ったりはできません。細部を撮影したい場合は望遠レンズが必要です。

ご本尊左側の部屋には日本浄土宗の開祖•法然と一念寺を再興した真阿の像が、黒い服を着た法然像の前には名残の名号も展示されています。


ご本尊右側の部屋には法然が師とした中国浄土宗の僧•善導大師像と地蔵菩薩立像などが安置されています。善導と法然は生きた時代が違いますが2人は法然の夢の中で出会いその時阿弥陀仏の化身である善導の下半身は金色に輝いていました。一念寺の善導像も下半身が金色になっています。

法然上人名残の御名号

法然名残の名号

鎌倉時代の1207年法然が土佐へ配流になった時、一念寺で最後の別れを惜しみ弟子の一人蓮生房(熊谷直実)に授けたという「南無阿弥陀仏」と書かれた名残の名号がご本尊の左側の部屋に展示されています。

臨時全国宝物取調鑑査状と浄土宗最古の木魚

明治時代に臨時全国宝物取調が行われた際、一念寺の阿弥陀如来坐像も調査されました。岡倉天心などの名前がある鑑査状が残っています。その下には浄土宗最古とされる木魚が展示されています。

庭園に残る法然ゆかりの舟繋石

一念寺本堂前庭

一念寺入口の門と本堂の間には小さな空間ながらよく整備された庭があります。そこには法然が土佐へ配流のとき乗船した舟を繋ぎ止めていた石、舟繋石が置かれています。

一念寺舟繋石

上部が無く4文字刻まれているように見えますが何と書いてあるかはわかりません。


一念寺は鴨川と桂川が合流する場所にあり、さらに南には「草津のみなと」という平安時代から高貴な人が都落ちする時に旅立つ船着場がありました。

一念寺の御朱印

一念寺の御朱印

書き置きのみ 300円

一念寺の御朱印は見学自由時間に本堂内でいただけます。


中央と右側の文字は「京都浄土宗寺院特別大公開」で公開されている他のお寺と共通。朱印と左側の文字、鳥羽大仏一念寺だけが後から書かれています。

一念寺

住所 : 京都府京都市伏見区下鳥羽南三町45番地
電話 : 075-611-3434