2019年11月7日(木)佐竹本三十六歌仙絵を見に京都国立博物館へ行きました。
平日の午前中ということもあり待ち時間なしで入ることができました。3階の最初の展示室がかなり混んでいましたが、しばらくすると混雑は解消しゆったり鑑賞することができました。
展示室内は撮影・スマートフォン禁止、メモは鉛筆のみ可能です。2階漫画『ちはやふる』の複製原画展示コーナーは撮影可能でした。
またコインロッカーは100円で利用でき後で戻ってくるので重い荷物は先に預けておいて損はないかと思います。
展覧会では佐竹本三十六歌仙絵以外の作品の展示も多数ありますがこの記事では主に佐竹本三十六歌仙絵についてまとめています。
[ もくじ ]
特別展 流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美 展覧会内容
絵巻切断から100年、佐竹本三十六歌仙絵全37点中(三十六歌仙+住吉大明神)31点が一堂に会す過去最大規模の展覧会。
斎宮女御 / 伊勢 / 中務 / 藤原清正 / 凡河内躬恒 / 猿丸大夫の6点は出品されていません。
展覧会名 | 特別展 流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美 |
会 場 | 京都国立博物館 平成知新館 |
会 期 | 2019年10月12日(土)~ 11月24日(日) |
観覧料 | 一 般 1,600円 大学生 1,200円 高校生 700円 中学生以下は無料 |
音声ガイド | 【料金】1台550円(税込) 【収録時間】約35分 【受付時間】9:30~17:15(金・土曜日 9:30~19:15) |
開館時間 | 火~木・日曜日:午前9時30分~午後6時(入館は午後5時30分まで) 金・土曜日:午前9時30分~午後8時(入館は午後7時30分まで) |
休館日 | 月曜日 ※11月18日(月)は特別に開館 |
駐車場/駐輪場 | 隣に有料駐車場あり/自転車無料駐輪場あり |
佐竹本三十六歌仙絵とは
鎌倉時代に制作された和歌の名人三十六人を描いた歌仙絵の最高傑作といわれています。
元々は上下二巻の絵巻物で旧秋田藩主佐竹家が所有していたため佐竹本と呼ばれています。
その後佐竹家の経済難から売りに出され一度は買手がついたものの再び売りに出され、今度はあまりにも高額なため誰も買手がつきませんでした。
海外流出を避けるためやむおえず大正八年(1919)一歌仙ごとに分割され、当時の財界人や数寄者たちがくじ引きによりその所有者を決めました。
その後各所有者が趣向を凝らした表具を施し掛け軸として生まれ変わります。そのあとも所有者を変えながら現在に伝わっています。
展示替案内
【前期】2019年10月12日(土)~ 11月4日(月・休)
【後期】2019年11月6日(水)~ 11月24日(日)
会期中、一部の作品は展示替があります。
【前期のみ展示】小野小町 / 源宗于 / 清原元輔
【後期のみ展示】小大君 / 藤原敦忠 / 山部赤人 / 源順
写真:特別展 流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美図録
華やかな衣装の女流歌人は前期に小野小町、後期に小大君の展示となっています。
【前期・後期の期間にあてはまらない展示】
・2019年10月12日(土)~ 11月10日(日)平兼盛
・2019年10月29日(火)~ 11月10日(日)柿本人麻呂 / 僧正遍昭
・2019年10月29日(火)~ 11月24日(日)大中臣頼基
大きくは前期・後期の二つの期間に分かれていますが、実際は細かく六つの期間に分かれておりいつどの歌仙が展示されているかはなかなか分かりづらいです。
下記の歌仙は会期中展示されています。
大伴家持 / 在原業平 / 素性法師 / 藤原兼輔 / 源公忠
藤原敏行 / 藤原興風 / 坂上是則 / 大中臣能宣 / 住吉大明神
紀貫之 / 紀友則 / 藤原朝忠 / 藤原高光 / 壬生忠峯
源重之 / 源信明 / 藤原元真 / 藤原仲文 / 壬生忠視
※佐竹本三十六歌仙絵以外の作品も展示替えがありますがここでは佐竹本三十六歌仙絵のみの展示替をまとめています。
佐竹本三十六歌仙絵の展示は2階
写真:特別展 流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美図録
展示の順路は3階から1階へ下りていくように構成されています。
展示構成
今回の展覧会メインとなる佐竹本三十六歌仙絵の展示は2階になります。
3階が混んでいる場合2階から観覧するのもいいかと思います。
3階
第1章 国宝《三十六人家集》 と平安の名筆
第2章 〝歌聖〞 柿本人麻呂
2階
第3章 〝大歌仙〞佐竹本 三十六歌仙絵
1階
第4章 さまざまな 歌仙絵
第5章 鎌倉時代の 和歌と美術
第6章 江戸時代の 歌仙絵
こんな人におすすめの展覧会
写真:特別展 流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美図録
和歌や歌仙絵に興味のある人だけでなく以下のような人にもおすすめできる展覧会でした。
◆書(かな文字・和歌)に興味がある人
国宝が三点と三色紙、高野切(第三種)が展示されており見応えがありました。書を見るのが好きな人や習っている人にはこれだけでも結構満足できるのではないでしょうか。
国宝の手鏡「藻塩草」が14面広げて展示してあり様々な古筆と料紙が鑑賞できて興味深かったです。
◆肖像画(人物画)に興味がある人
歌仙ごとに表情が細かく描かれており和歌を詠んだ時の心情がうかがえるようでした。特に藤原高光の表情が繊細に描かれています。よく見ると少し描き方が違っていたりもします。顔の部分は小さいので双眼鏡を持参されるのがおすすめです。
また3階では様々に描かれた柿本人麻呂を見れます。本当に同じ人物なのかと疑問に思う顔もありましたが比較して見れるのもこの展覧会ならではです。
◆表具・裂に興味がある人
和歌の内容に合わせた表具だけ見ても面白く派手なもの、渋いものと所有者の趣向が凝らしてあり美意識の高さを感じられるものでした。
大和絵を表具に用いた坂上是則・平兼盛、華やかな扇を散らした紀貫之、墨流しで水面を表現した源順この4点の表具は特におすすめです。
※情報は2019年11月7日(木)のものです。展示替により展示されていない可能性があります。
展覧会グッズ
図録 一冊 3,000円(税込)
図録のカバーを外したものです。表紙は小野小町。
展示されている歌仙一人一人のポストカードが販売されているわけではないですし、実際の絵は顔の部分はとても小さいのでじっくり見たい方は図録購入がおすすめです。
顔の部分のアップと和歌の解説、絵全体部分(見開き2ページ分)、表具を含めた全体の3つの形で今回展示の歌仙全てが収録されていますので見応えがあります。
図録の他にもポストカードや公式ページに掲載されているものはもちろん、展覧会オリジナル国宝の本阿弥切 『古今和歌集』巻第十二残巻の絵柄をモチーフにした小さいサイズの御朱印帳1,000円(税抜)などもありました。
小野小町ゆかりのお寺、随心院について詳しく知りたい方は下記のリンクからどうぞ↓
【小野小町ゆかりの寺】京都随心院 2021年梅園無料公開と春限定御朱印
おわりに
三十六歌仙は昔から知ってはいたのですが正直佐竹本については何の知識もなく事前に関連番組をいくつか観て展覧会に行きました。おかげで切断当時一番人気だったという斎宮女御も今回の出品はありませんでしたが田中新美作の模本の中で確認することができました。
また展覧会と直接は関係ないのですが必ず通ることになる1階の仏像彫刻コーナーも迫力のある大型の仏像を多数見ることができ、今年国宝となった安祥寺の五智如来坐像も展示されています。安祥寺についてはこちらの記事をご覧ください。
非公開寺院である安祥寺はこの秋2019年11月16日(土)〜12月1(日)の16日間特別公開されますので行こうと思っている方は見ておくのがおすすめです。